熱中症といって、気温の高い環境でろくに水分もとらずにいると、
汗もかかないうちにずんずん体温が上がって、意識がもうろうとす
る病態がありますが、これはもう、急いで体温を下げてやらないと
命の心配があります。あと、熱性ケイレンのお子さんの熱は下げる
必要がありますね。
これら以外の、カゼなどの感染症による熱は、実はあまり下げな
いほうがいいのです。とくに、お子さんの夏カゼなどで、熱は39
度以上もあるのに、本人はけろっとしている場合などは、まったく
解熱する必要はありません。ウイルスはをやっつける体の防衛シス
テムは、高体温の時にもっとも有効に機能するのです。それをむざ
むざ下げるのは、もったいない話です。
解熱剤は、発汗を誘発して、汗の揮発熱で体温を下げるのですが、
解熱剤が強すぎて血圧が下がってしまったりすることもあり安易に
解熱剤を使わないほうがいいのです。寒気のある間は、解熱剤を使
ってはいけません。却って具合が悪くなってしまいます。寒気が去
って、安定した高熱になってから解熱剤を使います。以前解熱剤を
使って、何か問題のあった人は、絶対に解熱剤を使ってはいけませ
ん。そうような場合は、濡れタオルを絞ったもので体を拭いてあげ
ると、さっぱりしますし、揮発熱を体から奪うので、0.5度くらい
安全に熱を下げることができます。
熱が出たら、水分がどんどん失われますので、水分を補給するこ
とが大切です。脱水だけでも熱は出るのです。とくに小さなお子さ
んは自分で水分補給できませんし、お年よりは、かわきの感覚が鈍
くなっているので、脱水→発熱→熱中症へすすみやすいのでこまめ
な水分補給が大切です。